がけと擁壁の話② がけ下の建築
がけ地の建築規制、『がけ条例』について
数回にわたって紹介する第2回目です。
「次は擁壁の話を」と宣言しましたが、
もう1回、擁壁を作る前のがけ地での
建築についてお話します。すみません。
というのは、前回はがけ上のケースだけで、
がけの下に建てるケースがまだでしたので、
そのお話を続けたいと思います。
◆がけの下に建てるには
自然に生じたがけは、長い年月の間に、
簡単に崩れる所はすでに崩れているはずで、
今の時点では一応安定していると考えます。
としても、ほぼ確実に安定しているのは、
安息角面の下の部分です。図を見てください。
この場合、豪雨や地震などで①の土砂が
②へ崩れることを想定する必要があります。
従って、位置Ⓑへの建築は原則禁止です。
位置Ⓐに建築しなければなりません。
◆和歌山県のがけ条例では
和歌山県条例でも「崖(中略)の上端からの
水平距離がその下端方向に対して(中略)
崖の高さの2倍未満(中略)の土地の区域内
においては、建築物を建築してはならない」
と規定しています。
(和歌山県建築基準法施行条例 第4条)
◆「安全上適当な措置」
このように、各自治体が定めるがけ条例では、
がけが崩れた際に土砂が押し寄せる範囲に
建物を建築することを原則禁止しています。
でもそれでは土地利用があまりに非効率です。
そこで、建築基準法やがけ条例は、
土砂に耐える擁壁を築造するなど、
「安全上適当な措置」を講じれば、
建物を建ててよいと認めています。
次回はいよいよ安全対策の代表例である
「擁壁」を見ていきます。