物件の周辺環境の説明
Question
今年新居に入居しましたが、その後、
近くに暴力団の事務所があると知りました。
不動産業者からそんな説明はなかったので、
どういうことか聞きにいくと、
「重要事項の説明項目」にあたらないので
説明しなかったと言われました。
説明項目の範囲はどうなっていますか?
暴力団施設は本当に入っていませんか?
Answer
ご質問は「物件の周辺環境の説明」についてだと思います。
暴力団施設はその中の「嫌悪施設」に該当します。
◆重要事項説明の目的・範囲
まず、不動産業者が行う重要事項説明の目的は、
契約を締結するかどうかを決める判断材料の提供です。
ですから必ず契約締結“前”に行います。
ご質問にあった説明すべき項目は、
宅地建物取引業法35条に定められています。
項目は、すごく簡単に言うと
「購入する物件」と「売買契約の条件」
の2分野についてです。
実はこの中に「周辺環境の説明」はありません。
ですから、件の不動産業者の言い分は、
間違っているわけではありません。
ですが、先述しました通り、
本来重要事項説明は「契約をするかどうか
判断するため」に行われるものです。
ですから周辺環境についても、実務上は
「買主が契約するか否かの判断に影響を及ぼす事項」として、
「その他事項」「特記事項」などの形で
記載されることが多い項目ではあります。
◆嫌悪施設かどうかの判断の難しさ
ただ、記載すべき「嫌悪施設」かどうか
その判断は実は大変難しいものです。
それは嫌悪施設かどうかの判断が
とても主観的なものだからです。
例えば、風俗店やラブホテルは
一般的に嫌悪施設と考えても差し支えないが、
これがスナックやビジネスホテルなら、
人によるとしか言えない部分があります。
距離の問題もあります。
50mは該当するのか、
200mなら含まれないのか、
決まったルールがあるわけではありません。
ご質問の暴力団施設の場合ですと、
調査自体が困難な場合も考えられます。
指定暴力団の事務所であれば、
警察が情報を公開している場合もありますが、
暴力団の構成員が住んでいるかなどとなると、
個人情報となるため警察も公開しません。
後は近隣のヒアリング位しかありません。
仲介会社も調べようがないこともあるのです。
このように、嫌悪施設のような特記事項は、
まだまだ業者の判断に任される場合も多い項目です。
ご質問の場合でも、暴力団事務所迄の距離が、
すぐ隣ならともかく500m位の距離だったなら、
影響は少ないとして告知しなかったとしても
直ちに義務を怠ったとは言えないと思います。
ただしこれも、詳細な条件にもよりますので、
どうしても納得できなければ、弁護士など
第三者の専門家に相談すべきかもしれません。
◆自分で調べる=調査サービスの利用も
いずれにしても、物件の周辺環境は、
物件価値に影響を与える場合も多いですが、
必ずしも説明義務が定まっていません。
やはり「自分にとっての嫌悪施設」は、
実際に見て回るなどして自ら調べるのが
一番有用な方法だと思います。
そうは言っても、もし誰かの力を借りたいときは、
最近ではお住いの地域によっては、
周辺調査を代行するようなサービスも
できています。
もちろん、弊社も項目によってご協力できます。
ぜひ一度ご検討してみてください。