「袋地」は建築不可物件
Q:田舎の実家を相続しました。
元々の地主さんとは今でも交流があって、
空き家の管理面でも協力してもらっています。
ただ将来も戻る予定がないので、売却を考えるようになりました。
すると元地主さんが、道が無いから建替えできないはずと言います。
どういうことでしょう?
売却できないのでしょうか?
(愛知県T様40代女性)
A:T様、お問い合わせ有難うございます。
お敷地拝見しました。
この敷地は公道に全く接していないので、
建築基準法の接道義務を満たしていませんでした。
ですので、現状では再建築不可です。
今の家は法律が決まる前に建てられたものですね。
このような、他の所有者の土地又は海岸・崖地等に囲まれて公道に接していない土地を、
「袋地(ふくろち)」といいます。
囲んでいる側の土地は「囲繞地(いにょうち)」といいます。
この場合、接道義務を満たしていないので、建物の再建築はできません。
不適合接道による再建築不可物件です。
しかしながら、「袋地」の所有者には公道まで他の土地(囲繞地)を通行する権利があります。
これを「囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)」といいます。
ですから、実際に住む上での通行を妨げられることはありません。
但し、通行料の支払いを求められる可能性はあります。
このような、不適合接道による再建築不可の土地は、実は決して珍しい物ではありません。
一説には、「敷地が道路に接していない」住宅は全国で117万1,800戸、
「幅員2メートル未満の道路に接している」住宅は230万4,700戸にのぼるといわれています。
売却できないのでは?というご質問でしたが、売却は可能です。
売買自体に問題はありません。
建物も、存続する限りは、利用することは可能です。
ただ、気をつけてほしいことがあります。
一つは、再建築不可物件だという事を、買主に明確に伝える事です。
値交渉に不利だと隠すなんてことは絶対にいけません。
二つめは、不利な部分も含め全てを伝えた上で、値段を決定するということです。
それが損害賠償などの将来リスクを最小化する最善の方法です。
三つめは、調査漏れを無くすことです。
再建築不可物件は古いものが多いので、売主が事情に疎い場合も多い。
売買価格が小さくても、相手の損害=賠償額が小さいとは限りません。
極力漏れを無くす綿密な調査が肝心です。
そうした点に注意すれば、再建築不可物件の売買も十分可能だと思います。