がけと擁壁の話③ 擁壁その1
◆安息角を超える土地に建てるには
がけ地の建築規制の話の第3回目です。
前回まで、がけの上下に建築する場合は、
がけから相当の距離を離さなくてはいけない、
そんな規制をご紹介しました。
これは安全上当然の大切な措置ですが、
限られた土地を有効利用したい立場に立つと、
あまり現実的ではありません。
そこで実際には「安全上適当な措置」を施し、
安息角を超える部分も利用可能にします。
安全上適当な措置には幾つか方法があります。
その代表的な措置が「擁壁(ようへき)」です。
◆擁壁とは
では「擁壁」とは何でしょう?簡単に言うと、
崖などの崩壊を防ぐための「土留め」です。
もう少し具体的には、コンクリートブロックや
石などを使った「壁状の構造物」です。
下は擁壁のイメージ図です。
地盤だけでなくその上の建物からの荷重も
支えることができる物でないといけません。
◆法律上の擁壁
最も簡素な擁壁は自然石積み擁壁です。
城郭の石垣を想像するとよいでしょう。
ただし空積みだと法律上の擁壁ではないので、
がけ条例の対策としては不適格です。
各自治体が定めているがけ条例の多くは、
宅地造成等規制法の設置基準を採用しています。
コンクリート製ブロックを組んだ物や
鉄筋コンクリート造の物などがあります。
次回は「擁壁」のことをもう少し掘り下げて
見ていこうと思います。