土地建物が一体価格の時の按分は?
Question
中古住宅を買いました。
値段は土地と建物が一体になっています。
でも税務申告では分けないといけないらしい。
どうしたらいいですか?
Answer
◆建物と土地の値段はどうやって分けるの?
新築のマンション販売などを除いて、
中古住宅の売買などでは土地と建物の価格が
一体で値付けられていることは良くあります。
しかし税務的には別々にする必要があります。
具体的な按分方法は特に決まっていませんが、
合理的で且つバランスがとれていれば、
税務当局に認められます。
良く用いられる方法がいくつかあるので、
どういう方法があるのか見ていきましょう。
◆合理的と思われる取得価額の按分方法
次の4つのパターンが良く用いられます。
(1) 固定資産税評価額の比率で按分する
実務上一番よく用いられるのはこれです。
計算が簡単で、税務署の理解も得やすいからです。
(2) 先に再調達原価で建物を算出する
税務署公表の「建物の標準的な建築価額」で
計算する方法はよく使われます。
土地価格は総額との差額で算出します。
(3) 先に時価で土地価格を算出する
逆に土地の実勢価格をまず算出します。
多いのは相続税路線価を0.8で割戻す手法です。
(4) 不動産鑑定士に按分を依頼する
税務上は一番確実な方法ですが、
鑑定士の費用がかかるのがネックです。
以上について、注意してほしい点があります。
合理的な方法で計算したとしても、
結果が市場バランスと違っていると、
税務当局に認められないことがあることです。
(⑴が多い理由はそれです)
なぜなら、税務上有利になる場合があるので、
作為的と疑われるからです。
◆売主と買主で異なる有利不利
税務上の有利不利は一概に言えませんが、
一般に売主は建物金額が低い方が有利とされます。
土地は消費税が非課税なので、課税対象の
建物が少ない方が負担は少ないためです。
一方の買主は、建物金額が高い方が有利とされます。
建物価格は減価償却で経費にできるからです。
土地価格の方は減価償却ができないために、
売るまで経費にできません。
このように、売主買主で事情は違いますが、
按分を変えると税務的に有利な場合があるので、
公平なバランスかに税務当局は神経質です。
そうしたことに注意ながら、
信頼できる税理士にも相談したりして、
最適な按分を心掛けてください。